最近読んだ本
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北方謙三 「水滸伝(一)」
文庫版です。
面白い~。
本は通勤電車で読むのですが、電車を降りるのが残念に思える本は久しぶりです。
登場人物が皆魅力的です。
第一巻で私が好きなのは、坊主の魯智深と、王進のお母さんですね。
派手な活躍はしないけど、魯智深の、相手の心を開かせる人柄、王進母の賢さ・上品さが良いです。
北方水滸伝の公式ホームページでは林冲が一番人気でした。
解説によると、もともとの水滸伝からは大分変わっているそうですが…。
実家に、横山光輝の漫画の水滸伝がなぜか一巻だけあって、小説を読みながらも漫画のキャラクターが頭に浮かんでしまいました。
毎月一巻ずつ刊行されるそうなので、これから楽しみです。
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吉村喜彦「ビア・ボーイ」
主人公は、ビール会社の花形宣伝部から、地方の売れ行きワースト1支店の営業に飛ばされる。最初はくさっていたが、徐々に営業の面白さを知り、活躍していく。
作者は元々サントリーにいた人で、会社内の話は現実味がある。
でも、ストーリーそのものには現実味がない。
それは、それぞれのエピソードが細切れで、物語として自然に繋がっていないからだ。
何か長い要約文を読んでいるようで、感情移入ができない。
いっそノンフィクションだったらいいのに。
色々な苦労を経て仕事ができるようになる話かと思ったら、失態して謝りに行ったら取引先に即座に気に入られるし。
最後の最後困ったら社長が出てきて鶴の一声で解決するし。
たまに「この人出てくる意味あったの?」って人もいる。
例えばビール研究所の同期。もっと早めに出しておいて、その人となりを描いておけばいいのに。いきなり登場して、「実は彼は理想のビールを造りたいと常々思っていた」とか言われても、説得力がない。
そもそも、この主人公に共感できない。
遅刻で酒乱。社会人として許されないだろ。
でも、取引先には何故か気に入られる。
無遅刻無欠勤で頑張るより、要領のイイ奴が得するのね。
あと、装丁は時間がなかったのですか?
この青じゃ、瀬戸内の海も空もビールの爽やかさもイメージできないです。
電車の中で恥ずかしくない装丁にしてください。
いろいろ文句並べましたが、こういう、仕事で頑張る話は好きです。
まったくつまんなければ、最後まで読みません。
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池内紀「なぜかいい町 一泊旅行」
実は、今日が返却日で、最後まで読めなかったのですが。
でも、しみじみとよい本だと思うので、記録しておきます。
観光地ではなく、自分の勘でぶらりと訪れた小さな町の旅の思い出を綴っています。
いいっすよね。いつかこういう旅ができるようになりたいもんです。
自分は旅行の計画はかなり綿密に立てるタイプです。
電車や現地のバスの時刻表を確認して接続がスムーズに行くようにしておくし、観光地やお土産情報も把握して、見忘れ・買い忘れのないようにしておくし。
土地の由来や習俗も予習してしまう。
それはそれで楽しいです。準備の過程も旅の一部で。
でもいつか、「おっここはよさそうだ」とふらりと出かけ、何の予備知識もないところで発見したり感動したりする旅をしてみたいです。
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伊藤信吾「風に吹かれて豆腐屋ジョニー 男前豆腐店ストーリー」
タイトル長いよ。
ジョニーの大ヒットで話題の男前豆腐店の成り立ちを社長自ら熱く語ります。
熱いよ、社長、熱すぎるよ。
運も実力のうちと言いますが、この社長の場合はまさにそのとおりです。
元々お父さんが大きな豆腐屋さんの社長でその設備や販路を使えたこと、健康ブームで豆腐の人気が出てきたこと、そこに加えてこの社長の努力と才覚があってこその成功だったのでしょう。
この社長、仕事が面白くて仕方ないようです。
豆腐は、差別化が難しい商品ですが、まったく新しい方向から商品に個性を持たせられたのは、元々本人が豆腐屋さんでなかったからかもしれません。
巻末に、ジョニーとその仲間たちの相関図があるので、ファンの人には嬉しいと思います。(私はキャラクターにはあまり興味ないのですが。)
豆腐の味って、価格にかなり比例しますよね。
私も男前豆腐は結構好きです。
この本を読んでいたら豆腐が食べたくなったので、今日は男前に牛薄切りを巻いて豆腐ステーキにしましたよ。でも男前、もろくて崩れやすいので注意が必要です。
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鈴木清剛「夏と夜と」
軽いよ…。
「わたしを離さないで」の後ってこともあるけど、軽いよ。
いや、これはもっと若い年代向けの本なのかもしれない。
以前、同じ作者の「ロックンロールミシン」というのを読んだことがあります。
自分の進路に迷う若者たちの青春群像小説です。
「夏と夜と」の主人公たちも迷ってます。
いやもう、そろそろ落ち着けよ!と思ってしまいます。
いや私だって迷ってるけどさ、家庭を持ったらもうちょっと考えたまへ。
あーでも…文学の主人公って、たいてい傍迷惑に迷ってますよね。仕方ないか。
フリーで洋服のパタンナーをやっている主人公(名前忘れた)は、結婚数年になる妻と暮らしている。平和な生活だが、なぜか満たされない思いもある。
ある日、専門学校時代の友人の一人、和泉みゆきと再会する。和泉は最近、十年前に事故で死んだ共通の友人スウちゃんの幽霊を見るという。…
なんか、無駄な設定&装飾が多いのが気になりました。
最初の方に出てくる玄米ご飯・豆腐のマクロビオティックな食事はなんのために出てきたんだか。それと繋がる記述がまったく出てこない。若い女性にオシャレと思わせたいのか?なんか気持ち悪い。
冒頭と最後に出てくる(そして装丁にもある)「ウイ?」「サバ?」「ノン?」も特に何を象徴しているわけでもなさそうだし。
星型のブローチもそうだし。
太極拳もそうだし。
森とか沼ももうちょっと書き込んであればなぁ。
色々小道具出してる割に、一つ一つに思い入れがない感じ。。
登場人物も個性的な人が多いのだから、もっと掘り下げていけばいいのに。
そして何より文章が女性っぽいのがだめなんだ。これは好みの問題ですが…。
話自体は面白いので読んで損ということはないですが、[「私の場合は」心には深く残らなかったです。。
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カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
※ネタバレあり
外国が舞台の本はあまり読まないのですが、すいすい読み進められたのは、本そのものが面白かったのと、語りが一人称だったのと、翻訳が上手だったからでしょう。
ただ、十代の男の子が「わからん」とかそんな口調なのはいちいち引っかかってしまいました。
キャシーは「提供者」と呼ばれる人々の「介護人」をしている。
そして自分もゆくゆくは「提供者」となる。
自分たち提供者が育った施設、そして仲間たちのことを思い出す。
人造人間の話だと、たいてい人造人間たちが結託して反乱を起こし、自分たちの運命を切り開こうとしますが、この話はそんな単純なものではない。
望んでいるわけではないが、「結局はそれが使命」と、受け入れていく。
それが切ない。
重い話ですが、有り得ない話でもなく、考えさせられます。
…って、私が何か書いても上手いこと伝えられないなぁ。。
すいませんねぇ。
しかし何故カセットテープなの?未来の話だと思うけど。それともパラレルワールド?CDじゃ味気ないか。。。
染色体には両端にテロメアという染色体を保護するためのキャップのようなものがあり、それが細胞分裂の度に消耗していく。クローンのテロメアは誕生したときから元の固体と同じだけテロメアが消耗していて、だから元の固体よりも寿命が短いはず、という話を昔聞いたことがある。
羊のドリーのテロメアも短かったとか、イヤ通常の長さだけあったとか言われていたが、結局のところどうなったんだろう?少し前にドリーは亡くなったが、他の羊に比べて寿命は短かったのだろうか?
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能町みね子「オカマだけどOLやってます。」
衝撃的なタイトルです。
性同一性障害(当人はこの呼び名が好きではない)の作者の日記ブログを書籍化したものです。
作者はこれから手術を受ける予定で、まだ完全に女性ではないにもかかわらず女性として会社勤めをしているという。
元々女性的な顔・体格だったけど、やはり女性として暮らすのは色々気を使うこともあり…という、日常やらこれまでやらを綴っています。
ふむふむ。そうなんだー。
細川貂々「ツレがうつになりまして。」
鬱になったご主人と漫画家さんの生活を描いた漫画です。
漫画だし、努めて軽い感じで書かれているけど、実際は壮絶な暮らしだったのだろうと思います。漫画の途中に挿入されるご主人のエッセイのページで、ご主人の病気のことを話している途中に漫画家さんが泣いたことが書いてあります。本人も辛いし、家族も「どうしてあげることもできない」辛さがありますよね。
心の病は誰にでも起こりうるものとして、関心を持っています。
だって、あの高島忠夫だって鬱になったんだから(なぜ忠夫が基準?)。
でも冗談抜きで、自分も自分の身近な人もいつなってもおかしくないと思っています。そう思っている人が多いからこの本が売れているのかもしれませんね。
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森達也「放送禁止歌」
テレビ・ラジオなどのマスメディアでは放送できないとされている歌がある。それらが何故放送禁止となっていったのかを探るうちに、問題は歌ではなく、メディア側の体制にあることが明らかになっていく。
放送禁止歌には厳密な基準があるわけではなく、長年の慣習や「流したらクレームが来るかも」という思い込みで放送していないことが多いことがわかる。
この間映画で効いたイムジン河も放送禁止扱い(実際は違う)だったんだ。
歌の話から、同和問題へと掘り下げられていく。
他の地域は知らないが、私の受けた学校教育では同和問題について全く教わらなくて、その存在すらよく知らない…。
気楽なサブカル本のつもりで手に取ったら、中身は予想外に重かった。
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武光誠「知っておきたい日本の神様」
神様の由来・神社の成り立ちを説明する。
身近なのは鶴岡八幡宮だが、八幡は元々海の神様で、源氏が信仰するようになったとか。弁天は元は水の神様で、のちに富をもたらすとされたとか。
時代が下るにつれて神様に求められる役割も変化していく。
神様というと日本神話を思い出すけど、神話に組み込まれなかった地方の神様もけっこういるらしい。
あと、外来の神様も多い。
巻末には神社と祭神ともたらす利益が一覧表になっている。ハゲに効く神社もあるのには驚いた。
柿本人麻呂を祭った神社は防火やお産の神社とされるが…昔これについて調べた友達が「ひとまる→火、止まる」「ひとまる→人生まる」で、ダジャレから来ていることを授業で発表したら、担当の先生が怒ったことを思い出した。え、でもダジャレじゃないの?
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新谷行「アイヌ民族抵抗史」
和人の侵略に対して、アイヌがどう抵抗してきたか、という歴史の本。
和人はこれほどひどいことをして、もう許してもらえないんじゃないか…。
学校で習う歴史では、「北方の蝦夷を平定した」なんてさらっと習うだけだった。これだと、悪者を退治したようにさえ感じる…。「北海道の開拓」っていうのもそうだ。去年だったか、「北の零年」という映画があった。見ていないけど、開拓史の話のようだった。アイヌの人はどんな思いで見ただろう。
この本の出版もかなり古い。今、アイヌの人は何を望んでいるんだろう。
よしもとばなな「みずうみ」
職場で回ってきた本。
複雑な家庭環境に育った主人公が、ふしぎな青年と会う。彼は、さらに重い過去を背負っていた。
アイヌの次だからすごく軽く感じるよ。
内容的には面白かった。こんな特殊な設定にしないほうが共感できたと思うけど、こうしないといけなかったのかなぁ。
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松田英子「楽しい睡眠。」
夢を見るメカニズムを簡単に紹介する本。「夢をデザインする」という副題の通り、見たい夢を見るための方法も書いてある。
でも、大体自分が知っている内容だった。
それに、けっこう著者の主観が入っているところがある。初心者は書かれていることが「実際に研究の末証明されたこと」か「作者の推測」か判断しづらいので、あんまり先のことまで書かない方がいいと思うんだけど。
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大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン パイン編」
最初のグミ編を読んでから早?年。ようやく最終巻を手にすることができた。って言っても、二年前に発刊されてたのに気がついてなかったんだけど。これだけ待っったんだから、さぞかし面白いだろうなぁ!と期待して読んだ。
面白いことは面白かったけど、いまいち感情移入できなかった。。私が年取ったからというのと、作者が積み重ねてきたもの、両方だと思う。
「自分には人と違った何かがあるはずだ」「いや自分はこんなにダメだ」という2つの思いに葛藤する高校生が主人公。主人公が尊敬し、追い抜こうとしているクラスメイトは人気女優となっている。
これまでの2作に輪をかけたダメぶり。。こんなどん底になってどうすんの?と思ったけど、そーかー、大槻さん、そーかー。
女の子がちょっとヤな性格になっているのが残念だ。や、元からなのかな。
来年高校生になる甥っ子にも読んでもらいたいけど、うーん、人によっては迷惑か。
他にもエッセイ「綿いっぱいの愛を!」「わたくしだから改」を読んだ。オーケンウィークだ。エッセイの内容はまぁいつも同じ感じ。プロレスとかトンデモ本、面白映画の話。
でも、自律神経失調症で苦しんでいた時期のようなドンヨリ話はなくて、なんとか折り合いをつけて暮らしてるんだな、と安心した。
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三角寛「サンカ選集」
サンカとは、箕作りなどで生計を立て、戸籍を持たず山海を渡り歩く漂流の民(現在では完全に一般民に溶け込んで、そのような暮らしをしている者はいないと思われる)。
著者はサンカ研究の先駆者だ。瀬振り(サンカの住居)での暮らしや厳しい掟(ハタムラ)など、著者が取材した話が書かれている。
この本を読むまでサンカの存在すら知らなかった。学校で習ったことって、歴史の中の本当にほんの一部なんだなぁと思った。五木寛之「風の王国」など、サンカを題材とした小説もある。
奥田英朗「空中ブランコ」
いつ予約したんだろうこれ。思い出せないくらい前ってことは人気の本なんだろう。何をきっかけに予約したかすら覚えていない。
精神科医を主人公にした短編集。患者は特殊な職業の人が多いが、悩み自体は現代人によくあるものばかり。精神科医は風変わりで治療らしい治療をしないのだが、かれと関わっていくうちに自然と解決の糸口が見えてくる。
あー、ドラマの原作になったんだっけこれ。確かにドラマにしやすそう。面白かった。
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河合隼雄「人の心はどこまでわかるか」
作者は、誰でも名前くらいは聞いたことがあるだろう、臨床心理学の先生。
各方面の心理学の専門家から寄せられた質問に答えていく形式で綴られる。
まず、一口にカウンセラーといっても、その職場が多種多様なことに驚いた。
病院くらいしか思い浮かばなかったけど、大学の学生相談室、企業の相談室、小児科、産婦人科の周産期センター(集中治療室に入っている新生児のお母さん向け)、家裁など。。。それぞれの職場によって違った問題点・懸案事項を抱えている。
カウンセラーというと聖人君子でいなくてなならない気がしていたが、やはり人間だから悩みがあるんだなー。だからこそ成長できるわけだ。
回答の中で、
・難しい相手と対峙するときは体調を万全に整えておくべし。
・相手を否定せず、共感することで、相手が隠そうとしていた真実を自分で語りだす
…というのが、面白かった。
治療者の話だけど、考え方は一般社会にも転用できるところが多い。
「人の心はどこまでわかるか」については、この本は「なかなかわからないものだ」という姿勢をとっているのが共感できる。だからこそ、治療者は常に反省し、向上を目指す必要がある。「自分が治してやる。自分なら治せる」といった考え方の人は治療者には向かないという。
実際、人の心はわからないものだ。そう思っていないと、日常生活でも行き違いを生むと思う。
「○○は自分のことをわかってくれない」と言うとき、そういう自分は相手のことをどれほど理解しているというのだろう。逆に、「○○さんのこと、わからない」と言う人は、わかるはずの付き合いができていたの??と不思議になる。
「人の心はわからない」と思っているからこそ、思いやりを持ったり、言葉で伝えたり聞いたりする必要があるのだと思う。
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奥山貴宏
「31歳ガン漂流」
「32歳ガン漂流 Evolution」
作者は元々PCや音楽関係のライター。体調が悪いなと思って病院に行ったら、肺ガンで余命一年(だっけ)と診断される。
「33歳ガン漂流」という続編もあるが、その発行を待たずして、2005年、亡くなる。
ある友人が、こう言っていた。
「最近、一般の人が闘病記を出版することが多くてイヤだ。そんなに主役になりたいのかと思う。」
そういう考え方もあるのかー、と思った。
私は一般の人が闘病記を書くことを不思議とは思わない。
一般の人の本が増えているのは、昔に比べて「書く」ことが限られた職業の人だけのものでなくなっているからと、一般の人の原稿を使う出版社が増えたことによるだろう。
人間として生まれたら、誰しも自分の存在を何らかの形で残したいと思う。
別に大げさなことじゃなくて、仕事で人の役に立ったり、趣味で何か作ったりするのも自己実現の方法だと思う。
そして病気になったとき、文章が一番身近な手段になることはありえることだ。
出版社から声をかけられる機会や自費出版する費用があるなら、書いた文章を出版しても、悪いこととは思わない。(ただでさえ玉石混交な出版界なのに、さらに本が増えてムダが多くなる!という問題は置いておいて…)
友人は「芸能人の闘病記はOK。芸能人にはその権利があると思う。」と言うので、また意外だった。
芸能人の闘病記は、その本人自体に興味があれば読む。買う人はみな同じ目的だろう。そういう読み方があっても良いと思う。
でも、参考になるとしたら一般人のものだと思う。治療費とか復帰後の職場の心配とか大部屋の悩みとか…。
前置きが長くなったけど、この作者の闘病記は本当に参考になる。
闘病記というと、病気や治療の悲しみ・苦しみ・恐怖といったことが感情的に綴られているイメージがあるが、この作者は病気と治療の状況、そして自分の感情さえも事実として淡々と書こうと努力している。漠然とした「思い」でなく「事実」が詳細に記録されている。余計な修飾のない分、「これが闘病の現実なんだ…」と愕然としてしまった。
ドラマなんかで、「死んだ方がマシ」と言う重病患者に向かって家族が諭したりするけど、「こんなに辛いんじゃ、そりゃ死んだ方がマシ」って思うよ。
でも、作者は最後まで生きようとして、闘病記を3冊、他に小説も出版した。最後の数年で、価値のあるものを作り出したと思う。
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