最近読んだ本
奥山貴宏
「31歳ガン漂流」
「32歳ガン漂流 Evolution」
作者は元々PCや音楽関係のライター。体調が悪いなと思って病院に行ったら、肺ガンで余命一年(だっけ)と診断される。
「33歳ガン漂流」という続編もあるが、その発行を待たずして、2005年、亡くなる。
ある友人が、こう言っていた。
「最近、一般の人が闘病記を出版することが多くてイヤだ。そんなに主役になりたいのかと思う。」
そういう考え方もあるのかー、と思った。
私は一般の人が闘病記を書くことを不思議とは思わない。
一般の人の本が増えているのは、昔に比べて「書く」ことが限られた職業の人だけのものでなくなっているからと、一般の人の原稿を使う出版社が増えたことによるだろう。
人間として生まれたら、誰しも自分の存在を何らかの形で残したいと思う。
別に大げさなことじゃなくて、仕事で人の役に立ったり、趣味で何か作ったりするのも自己実現の方法だと思う。
そして病気になったとき、文章が一番身近な手段になることはありえることだ。
出版社から声をかけられる機会や自費出版する費用があるなら、書いた文章を出版しても、悪いこととは思わない。(ただでさえ玉石混交な出版界なのに、さらに本が増えてムダが多くなる!という問題は置いておいて…)
友人は「芸能人の闘病記はOK。芸能人にはその権利があると思う。」と言うので、また意外だった。
芸能人の闘病記は、その本人自体に興味があれば読む。買う人はみな同じ目的だろう。そういう読み方があっても良いと思う。
でも、参考になるとしたら一般人のものだと思う。治療費とか復帰後の職場の心配とか大部屋の悩みとか…。
前置きが長くなったけど、この作者の闘病記は本当に参考になる。
闘病記というと、病気や治療の悲しみ・苦しみ・恐怖といったことが感情的に綴られているイメージがあるが、この作者は病気と治療の状況、そして自分の感情さえも事実として淡々と書こうと努力している。漠然とした「思い」でなく「事実」が詳細に記録されている。余計な修飾のない分、「これが闘病の現実なんだ…」と愕然としてしまった。
ドラマなんかで、「死んだ方がマシ」と言う重病患者に向かって家族が諭したりするけど、「こんなに辛いんじゃ、そりゃ死んだ方がマシ」って思うよ。
でも、作者は最後まで生きようとして、闘病記を3冊、他に小説も出版した。最後の数年で、価値のあるものを作り出したと思う。
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